JR東海が経営する名古屋セントラル病院(名古屋市中村区)の循環器内科で2023年10月、不整脈のカテーテル治療を受けた50代女性が出血性ショックで死亡した。院内の調査で、病院が患者側から治療方針への理解や同意を得るインフォームド・コンセント(IC)が不足し、院内での連携が不十分だった実態が明らかになった。
- JR東海経営の病院、心臓カテーテル治療の事故相次ぐ 患者死亡も
- 【そもそも解説】医療事故調査制度の課題 「予期せぬ死亡事故」とは
院内調査結果報告書(24年2月)によると、治療は専門医をめざしている専攻医(後期研修医)が担当し、ベテラン指導医が付いた。カテーテル治療の際、右足の付け根で器具の挿入に難渋し、挿入時に動脈性出血を確認。圧迫止血をし、左足側からの挿入に変えて治療を続けた。
患者は、治療を終えた1時間後から血圧低下や嘔吐(おうと)、足の付け根から腹部にかけた腫れや痛みなどで体調が悪化。25時間後には肝臓や腎臓の障害があらわになり、60時間後、出血性ショックが原因の多臓器不全で死亡した。
病院はこの間、圧迫止血や血圧上昇剤の投与などに終始した。循環器内科の医師は「出血を圧迫で止められないという経験がなかった」ため、他の止血方法を考えなかったという。
患者側には、死亡リスクを含め、専攻医が担当する説明は事前になく、治療中の方針変更も伝えられなかった。
報告書によると、専攻医以外の医師の関与も手薄だった。「医師がそれぞれ重症の患者を抱え、上級医に気軽に相談しにくい状況であった」という。
連携病院への連絡、再発防止策に盛り込まれず
今回は、不整脈を起こす心筋…